2日目 憧れの銀山温泉と2日目にして見つけた最強メンタルへの鍵
翌朝5時にホテルを出て国道116号線にて山形を目指します。
途中から乗った新潟バイパスは片道3車線の立派な道でスイスイ走ることができました。
新発田市でバイパスを降りてからは何とも言えないのどかな景色の国道290号線を走ります。

これぞ求めていたノスタルジックな夏の風景!思わず車を停めて写真を撮りました。
好きな時間に走りたい道を気ままに走って旅をする、一人旅が楽しくなってきた瞬間です。

8時半頃、山形県に入ってすぐの道の駅「いいで めざみの里観光物産館」に休憩がてら立ち寄って、地元の人達の話す言葉に、1人で遠い土地に来たと実感しました。

一人旅は自分の気持ちと素直に向き合えるのか、小さな事でも鮮明に心に飛び込んでくる様な気がしました。
表現するのが難しいけど「普段は何かフィルターごしにあった気持ちが、フィルターを取り払って素直に自分に話しかけてくるような感覚」とでもいうのか。
この感覚を認識できた事は私にとって大きな変化でした。
社会と共存していく中で誤魔化したり、押し込めたりして作った自分。これを自分だと思い込んでいた今までをひっくり返して、本来の気持ちを感じられる様になった事は本質的な自信になりました。
気持ちの変化によって、ここから一人旅がより一気に楽しくなっていきます。銀山温泉の手前まで行くと、温泉街には車で行けないとの事でシャトルバスが運行していました。家族連れやカップルの集団の中、1人でバスに乗るのも平気になっていました。
「蟲師ギンコ」の気分になりきっている私。達成感がハンパなかったです。
周囲の目を勝手に想像して恥ずかしがっていた頃の気持ちは嘘の様に消えて、ただただ純粋に感動に浸りながら銀山温泉の景色を楽しむことができました。


このまま銀山温泉で泊まりたいところでしたが、こんな高級旅館に1人で泊まれる予算がなかったので、少し戻った東根温泉の旅館に向かうのでした。
旅館に着いて、あまりのレトロさに驚きつつチェックイン。客室には懐かしい茶色くて大きなクーラーが‼ 昭和50年代にタイムスリップしたような気分です。
消灯時間を過ぎたらマジで真っ暗。トイレや洗面所は客室の外だから、緑の非常灯の明かりを頼りに行きます。怖いよ~…。
あまりの驚きに宿泊することに精一杯で写真を撮るの忘れた…。
夕食には地元の人に人気があるらしい「伊勢そば」でバリバリの田舎そばを食べたかったのですがなんと休業。不定休らしく、ちょうど運が悪かったですね…。今はFacebookで定休日の確認ができるようになっています。
しかたなくファミレスで済ませて…って普通に1人でファミレス行けてるし!!
サラダをつまみながら自分自身の変身っぷりに関心しました。
琥珀色の温泉に浸かって癒され、懐かしい空間にのんびり静かに過ぎていく時間。
今まで体験したことのない、一人旅ならではの過ごし方にどんどん魅了されていくのでした。
3日目 日光東照宮に湯葉料理、1度は泊まりたかった古民家ゲストハウス

やっぱり早朝5時、旅館のおじいちゃんに見送られて栃木県へ出発です。
会津若松にさしかかったところで私は気づく。この旅のルート、かつて戊辰戦争で桑名藩がたどったルートなのでは!?と。
お盆だからご先祖様に導かれて旅をしてるのかも!?なんてスピリチュアルな事を考えながら日光市に入ると、無料駐車場とシャトルバスの看板。もはや無敵の私は看板の矢印に導かれて駐車場へ向かいました。
試験的に運行させているとのことでバスも無料で乗れて東照宮を参拝。葵の紋付きの御神酒をお土産に買って、日光名物の湯葉料理のお店「全 ZEN」へ。

オシャレ過ぎる雰囲気のお店でも1人で入り、とちぎ和牛を湯葉で巻いた贅沢な一品をいただきます。自家製のタレで食べる湯葉巻きの美味しさに感動するばかりです。
もはや1人で何でもできる気しかしません。
この旅1番の贅沢ランチを堪能した日光を後にし、古民家ゲストハウスのある足利市へ。
ゲストハウスということで、他の人と一緒に一夜を明かす難題に少しの不安を持ちながらも、蟲師に出てくるような古民家に泊まりたい! と決意したゲストハウスでの宿泊。
先に夕食を済ませてから行こうと、レストラン「チコリ」へ行きました。
住宅街にひっそりたたずむ趣のある洋風の建物に少々足がすくみますが、思い切ってドアを開けます。
席に案内されて料理を注文して一息つくと、あらためて美しく年代を重ねている店内が居心地の良い雰囲気だと気づきます。

洋食というよりフレンチを思わせる美味しい料理。それでいて良心的なお値段。
これで満足しないはずがない!などと思いながら食べ終わると、お店の人が「外の車見ました。三重県から1人で来たんですか!?すごいですね! これ、マスターからサービスです」とスイーツをプレゼントしてくれました。

「遠いからもう来れないかもしれないのに、良くしてもらってありがとうございます!!」
私は超絶感動の渦の中お礼を言って、この旅を決行してよかったと心から思いました。
一人旅を楽しみつつも不安も常にあったこと。それ故見知らぬ人から受けた親切がこんなにも嬉しかったこと。自分の強さ、弱さ、人の暖かさを知った瞬間でした。文字にしてしまえば、ありきたりな表現になってしまうのが悔しいくらい。
これを実感できたことは、それからの人生に強く影響していきます。自分のありかた、他人への接し方に対する考え方が大きく変わりました。
実際に体験することがもたらす影響力の重大さを今さら知りました。
そんな暖かなチコリを後にし、ゲストハウス「松香庵」へ。明治時代に建てられたというその建物はまさに蟲師に出てくる民家そのもの。母屋へ受付にいくと、優しそうなご主人が出てきて宿泊に関する説明をしてくれました。

その日の宿泊客は私一人だけらしく、知らない人と一緒じゃないこと、この素晴らしい建物を独り占めできることに内心大喜びでした。
長い年月を経てなお今もたたずむ日本家屋で一夜を明かすのは、いつか古民家を改造して
住みたいと思っている私にとって夢であり憧れです。


趣のあるドアやトイレの窓枠を眺めながら、孤独に旅をするギンコに自分を重ね一人妄想にふけり、有意義な夜を過ごすのでした。
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